対2輪走行方法

先日、支部の交通安全講習の中で交通共済の理事長が「事故発生事案の中で対2輪事故が最も多い」と申されて おりました。改めて気をつけなければならないと決意を新たにした次第です。


我流ですが、私の対2輪の考え方です。


まず二輪のもつ特性を理解するよう努力してます。あと、基本的に2輪車に道交法の順守を期待しない事としております。 2輪車の多くはハンドル幅があれば車線規制など無視して車の列を縫うように前に出ようとする傾向があります。 ナンバーを隠す類いの輩は多少の接触など構う事なく前へ進みます。 所謂、「すり抜け」と言われる走り方であり、スピードも出せるだけ出し、何かが進路をふさいだ場合は止まれない 勢いです。すり抜け時以外も直線やカーブを問わず、常にアクセル全開(緊急時に止まれない速度)に近い状態と 考えてよいかもしれません。
私は交差点を右折しようとした時に対向車線からバイクが来た場合は安易に右折しないようにしています。 なぜなら相手が小さいがゆえに接近速度が分かりにくいからです。先に申し上げたとうり、常に出せるだけ速度を出す 2輪車です。時速100キロでの接近もざらで、最近のバイクの性能を考えますと、一般道でも200キロ位の 接近速度もあり得ます。



なぜ右折しようとしてる車がいるのにそのような高速度で接近してくるかと言うと、 直進優先だからです。バイクの多くは義務は果たさないけれど、優先意識の塊だと考えられます。進路変更時も 同様に注意しなければなりません。早い速度で接近してきますので、ミラーごしに「遠くに見えたから」等の 理由で安易に進路変更しては大変危険です。物凄い勢いで左右問わずにすり抜けて来ます。特に高速道路だと 300キロ近い接近もあり得ます。これは四輪車の所謂ローリング族も同様です。その場合、こちらが仮に100キロで 走行していたとしても速度差は200となり、バイクから見た場合、いきなり車が進路を塞ぎ、路上に車を止めたとしか 思えません。幸い事故にならなかったとしても「殺されかかった」と逆ギレされる可能性があります。制限速度を大幅に 超えて走る方が悪いとも言えますが、進路変更する側にも安全確認を行う義務がある事を忘れてはいけません。



なぜバイクは急ぐのか。

早く走る=上手い
と錯覚してるタイプと急いでるつもりはなくても、開いてるスペースがあり、前に行けるから行ってるだけであり、 四輪車から見て単に急いでるように見えるだけのタイプの2種類が大半かと思われます。 二輪車は止まれば足を着かないと物理的に倒れます。つまり、バランス感覚の必要な乗り物であり、 ゆっくり走る事はバランス感覚を特に必要とする為、嫌う傾向だと私は感じており、ゆっくり走るよりは早く走る方が 楽な乗り物だと理解してよいかと思います。裏を返せば「上手い人程ゆっくり走らせるのが上手」と言えます。 上手いバイクのひとつが白バイです。彼らは歩く速度以下でもしっかりと車体を安定させ、地面に足を着く 事なく走らせてます。しかし、一般のライダーは先の信号が赤信号に変わりそうな時等、トロトロ四輪車の うしろを走りながら止まるより、サーッとすり抜けて一気に停止線付近で止まる方が楽な訳なのですが、 信号が赤になる直前に間に合う場合等は、基本的には止まりたくない訳ですので、さらに加速して信号を 通過しようとする傾向です。

正にこのタイミングが大変危険であり、この時に右折車は信号が黄色に変わり、 対向車の四輪群が止まったからと右折を始めた瞬間、加速を加えてすり抜けてきたバイクが飛び出して来ます。 典型的な右直事故の発生となります。

バイクはなぜ止まりたくないか。


二輪四輪を問わず、誰でも信号待ちを好きな人はいないと思いますが、バイクの場合、足を地面に着かなければ止まって いられません。これが面倒です。四輪車のようにエアコンやラジオ等の余暇もありません。「止まる=退屈な無駄な時間」 な訳であり、横風の強い時や雨、真夏の炎天下等の気候条件が悪い時にバイクを止める事はストレスとしか言えないのです。



バイク乗りの4輪車に対する知識


原付きバイクは16才から簡単な法令試験で乗れる言わば自転車に毛が生えた程度の 乗り物で、正に原動機付自転車です。これらを転がす人達は車の免許を持ってない方が大半であり、4輪自動車の 特性やドライバーの心理等は全く理解できません。狭い交通経験からでしか状況を判断できない2輪車の大半を 占めてるのが原付きバイクです。
自動2輪車は実技試験もあり、法令試験も車と同様な国家試験です。ある程度の知識は期待できますが、 4輪免許を持たない方は原付き乗り同様、4輪自動車の特性やドライバーの心理等はほとんど理解できません。




上記を踏まえ、考えて下さい。私なら防衛運転に勤めます。どれだけ危険な行為なのかの自覚がない相手に対し、期待など致しません。 近づいて来れば通りやすいように車を寄せて進路を広げて先に進めて差し上げ、右折や進路変更を行おうとした時にバイクが見えたら 通過するまで待ちます。やり過ごす事も知恵だと考えてます。

「なんで車線規制を守らなかったり、理解を超える速度で走るバイクに気を使わなければならないのか?悪いのはバイクの方だろう。」 と思われるかもしれませんが、それは正論です。が、総合的に考え、人生ある程度は打算的な部分も必要です。

事故に良いも悪いもないのです。私は事故=損と単純に理解してます。


良い悪い=過失割合となりますが、仮に四輪車が過失1でもバイクとの事故を起こせばバイクのライダーが無傷で済むケースは殆ど ありません。そうなると人身事故となり、相手は被害者となりますので、相応の責任を追及されます。昨今、課せられる行政責任の重さ 等を考えますと、憂慮しなければならない事態に陥ります。バイクの損壊も確実です。倒れるだけでも相応な破損が見込まれます。 過失1でも相手が後遺障害の残る大けがをされたり、万一、亡くなられたらどーでしょうか。悪いライダーだからしょうがないでは 済まないと思いますし、相手が若年層で知識や経験がないが為に事故を起こすのは仕方がないでは済まないと思います。

不幸中の幸いで、過失0だとしも中型バイク(車重150から200キロ近い)2輪車に突っ込まれると、鉄の塊ですので自車も破損します。 相手が任意保険未加入の場合(2輪の任意保険加入率はかなり低いのが現実です)、修理代を請求するにしても回収は面倒ですし、 ない所からは取れません。そうなると個タクの場合は交通共済を使う訳ですが、免責金額が数万円必要ですし、車両修理期間は 売り上げ0円が続きます。売り上げに関しても休損請求はできますが、修理代同様に相手が無保険なら回収は面倒です。 運良く2輪車が保険に加入していたとしても確定申告ベースでしか請求できません。そして事故当日は現場検証に 立ち合わされ生産性のない時間を過ごします。過失0でも負担でしかない訳でありますので、過失が五分以上ある 対二輪事故を起こせば極めて不利で相当な苦難が待ち受けてます。

それならやり過ごす事が、一番だと私は思います。




補足
あくまでも4輪の視点での作文であり、逆に2輪での視点で4輪に対し同様な文章が作成可能です。私は2輪も4輪にも 乗りますが、共通して言える事があります。双方全く相手に対しての理解がないのです。よくタクシーの後ろに張ってある、 「バイク注意」のシールを見かけますが、自身も日々注意し、バイクに対して理解を深めておられるのなら良いと思います。 しかし、かけ声だけのあまりに一方的なメッセージとしか見えませんし、相手に期待しているようでは事故は減らないと思います。 4輪ドライバーの多くは「バイクは危ない」とか「悪い」と少なからず考えてますが、2輪に乗られる方も4輪 (特にタク)に対して「デタラメな走らせ方」と考えてる人は少なくありません。免許所得時や更新時に 相互理解教育の取り組みに期待したい所です。


2007.4.2


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