規制緩和は失敗だったのか?
 東京特別区

2008年も7月に入りました。

そして毎月1日恒例のガソリンの値上げ。遂に180円時代に突入し、悪夢の200円代が目前です。 そのガソリン価格高騰の影響かは分かりませんが、
最近の深夜の東京は道路が空いていて実に快適なドライブが 楽しめます。

走る車が少ないのはガソリン消費率が前年同月比で5%も落ち込んでる事の裏付けと言えるかもしれません。 国内での5%ですから膨大な量のガソリン消費抑制であり、これは温室効果ガス(Co2)排出抑制そのものですから 温暖化対策として有効な効果だとはと思います。 暫定税率にすら消費税を課税する考え方が排出ガス抑制を目的としてたならば大きな成果を果たしていると言えますね。

 さて、話を戻し、仮にリッター単価が200円代に突入した場合、開業時のリッター108円時代と 比較すると単純に燃料費は約9割増となります。
これは先の運賃改定一回ではとてもペイできる話ではなくなり、大幅な経費増大だと言えます。 そんな厳しい社会情勢下で気になるのが、法人タクシー会社さんです。

我々個人タクシーは膨らんだガソリン経費分を利益(賃金)から回せます。
例えば利益率77%から利益率75%又は74%へとストレスなく自動的に切り下げられる労使一体経営が可能です。 しかし、法人タクシー会社さんの場合はこれができない。

労使間で取り決めた賃率63%(例)を守る必要があります。 昔からこの賃率が維持されてる訳で、会社側の取り分37%から車の整備維持に乗務員の社会保険料の半額等を支払って おり、もちろん燃料代もこの枠から捻出します。 単純に燃料費が9割増ならかなり経営を圧迫してると思われ、大丈夫なのか心配にすらなってしまいます。 もし平気なら燃料高騰前には相当な利益が出てたはずですが、当時から薄い利益を保有台数でカバーし、薄利をかき 集めてた印象がございます。 これは台数に比例して収益が増える考え方であり、台数が多ければ多い程有利だと考えてしまいます。 リスクもですが…。

この多台数有利の幻想からか、法人タクシー各社は規制が緩和されると京都議定書もなんのその我先にと言わんばかりにこぞって 増車路線を推し進めたのでございました。
そして規制下の護送船団時代には安易に許されなかった増車を繰り返した結果、保有台数は増えたものの稼働率が七割にも 満たない会社が現れ始めます。
車はあるけど人手不足で回せない情けない状態であり、その余剰車両維持もまた無駄な経費である上、余剰車両を動かしたい 一心に求人活動に資金を費やし、その経費も経営をさらに圧迫しているのでございます。

官民あげて脱炭素時代を目指す取り組みを模索する中、乗り手すら居ないCo2発生装置である自動車を増やし続けると言う、 正にどーにもならない負の連鎖地獄に自ら陥っている訳ですが、今度は増車完了に伴い、

「タクシーが多すぎる」 (誰が増やしたの?)

「腹一杯だから今度は再規制しろ」

などと高らかに訴え始めており、正に言いたい放題でございます。 あらゆる意味で
「大丈夫?」が、法人タクシー経営者さんへの率直な思いですが、それでもなんとか会社を回せてる訳だから 幸せな業界なのでしょう。

  そしてここにきて…    (既得権益者への道)

あろう事か再規制の願いが「叶う」方向で流れ始めました。
また総量規制が入る流れであり、護送船団時代の再来となりそうです。 何でも言ってみるもんですが、昔に戻る予感はあったものの実際にそうなるとなると「本当にか?」って思いです。規制緩和のモデルケースで始められたタクシー規制緩和が昔に逆戻りする訳ですからね。 タクシー業界は規制緩和でかなりサービス面が向上した事は業界に身を置く者としては物凄く感じてはおります。しかし事実上、規制緩和は失敗だったと言う事なのでしょう。

 一部マスコミには反論等もお見受け致しますが、実際、必要以上のタクシーが巷に溢れるその様をまじかに目撃する機会が多い当方と致しましてはどう友好的に解釈しても今の巷はとても脱炭素社会を目指す先進国には見えません。 11年前の京都議定書に6%の削減目標が掲げられてる最中ですら、規制緩和で無尽蔵に増やして良いとする発想そのものがどーかしており、これからも現状維持ないし、「もっと増やせ!」と言う考え方は私の理解を越えますね。 「市場が原理が働き、淘汰されて調整される」との話も聞き及んではおりますが、市場原理主義が我々の住む惑星をお釈迦に導いてる事は周知の事実でございます。
(市場原理主義者様 全く別問題を絡めてすいません。)

昔に戻るとは言っても最後の決着を見るまで紆余曲折がございましょう。 その日までは注視していきたいと思います。

幸いにも権力に見放されずに活路を見い出せそうな我らが一般乗用旅客輸送業界であります。 そんな幸せな業界は置いといて気になる業界が…。

 最近テレビで報道されてる漁業関係のニュースに注視しております。 なんと原油高で採算が合わないから漁を休止したり廃業する業者さんが後を絶たないとか…。
働けど働けど暮らしは楽にならず…。のワーキングプアを遥かに上回る状況で、働けば働く程赤字だそうです。 真面目に働く程に借金が増えるなど信じられない現実だと言わざるを得ませんが、どう考えてもおかしな話です。 社会構造が限界を超えて歪みきってるとしか思えませんし、行政が何も有効な施策を講じないのも理解できません。

一時産業の花形である漁業は日本の誇る産業の一つであり、魚食はある意味、日本文化そのものです。 漁を止めて食卓から魚が消えるとは文化の存亡の危機であり、一度失った文化を後世で改めて興すとしても一朝一夕には いかないと思います。 農水省には「日本の文化を守れ」などと大それた事は申しませんが、自己の存在意味の半分を失いかねない深刻な事態だと 受け止めて頂き、全力で取り組む姿勢を期待したいですね…。

具体案すら何も聞えてきませんので恐れながら愚輩から…。

施策 (素人案)

1-燃料にかかる全ての税を免除。
 一斉休漁又は廃業されれば燃料の消費が0になる。
 したがいまして燃料にかかる税収が0になので
 そうなる前にいっその事全額免除しても同じ事。

2-船舶に関わる税を減免又は全免除。
 上記1と同じ理由

3-事業税全額免除
 上記1と同じ理由

荒唐無稽な案だと重々承知はしておりますが、事の深刻さを思うと何でもありでいかないとどうにもならないです。

深刻な漁業関係と比較すると我がタクシー業界(特別区)は苦しいながらも利益が出てるだけまだ良好に機能しているのでしょう。 金曜日ですら稼動できない余剰車を抱える事ができる程ですからね。もし、再規制するならこの辺りも決着させないと世間様には示しが つきません。
2008年はまだ半分しか経過してないのに運賃改訂に始まりタクシー禁煙化、燃料高、この前の居酒屋タクシーに今度の 再規制と話題が尽きません。が、どれも悲壮感漂うネタでない事は本当に幸いな事でございます。  決して予断を 許しませんが…。

2008.7.7

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