考察 個人タクシー 経費と所得

よく聞かれる個人タクシーの経費。個タクは儲かるのか?
素朴な疑問から少しまとめてみました。
これから個人タクシーを目指される方。
そうでない方も御覧下さいませ。

異論等もございましょうが、算定の基礎となる数字設定は
あくまでも主観的な判断です。 御理解の上お進み下さい。
2007.7.13



固定費

確実にかかる費用は所属組合や上部団体への組合費、タクシーセンター会費、 交通共済(強制)、決済端末機の固定通信費等の総計で月間5万から6万円。 これは加入組織で大きく変動します。

私の所属先の場合の徴収額明細

各賦課金

本部賦課金      3500
支部賦課金     14500
社団会費       1400
タクセン会費      1250
無線賦課金      3150
無線部費       500
共済組合拠出金     6000
社団共済       3300
全個連共済      1000
団体保険       5750
事故共済        8500
 カード端末機 固定費 682円
通信料金      約1000

総計  50532

色々な項目がありますが、殆ど理解しておりません。
支払うのみでございます。

タクセン会費はタクシーセンター負担金です。毎月、1250円。東個協は1万2千人ですので、 15000000円程、全体で毎月納めております。事業者乗務証の管理にこれだけの金額が必要かは疑問です。

※ 2009年に入り、各増額されつつあります。

駐車場代1万から5万円(地域差有)

車両ローン
(300万4年払いで月6万位 完済後叉は現金買いならなし)

上記は仕事できない状態(ずる休み、免停、事故)でも支払います。


変動経費

ガソリン代と高速代

ガソリン代金と郊外から都心への帰路高速代です。 売上に比例しますので、気にされなくても良いかもしれませんが、 ガソリン代は売上の約11パ−セント。
(近年上昇中)

高速代は営業スタイル(ロング専門/近距離専門)
にもよります。

少ない人で1万から2万円で多い人だと10万超えてます。         

定期支出

定期点検等

毎月のオイル交換。     3千から
オイルフィルター      1千円位

消耗部品2
タイヤ、ブレーキパッド、ライト各バルブ等
取り付ける物のグレードに左右されます。

定期点検
三ヶ月点検(三ヶ月毎)   5千円から
車検(年一回)       7万位から
     (法定費用の自賠責/重量税含)

修理代

  修理の必要性がある場合はその実費。(ピンキリ)
参考 (私のティアナのミッション交換クラスだと35万円位)
修理で恐いのは修理代金より、その工期です。長引けば長引く程、
売り上げ0の日が続き、経営を圧迫します。
ちなみに年1回支払う自動車税は営業車の場合は安いです。 1万以下

上記経費は青色申告で経費計上されます。
あと、車体代金はTAXIを自家用車でもある。と、考えれば意外と気になりません。

突発的支出
例えば今度、運賃改定がある気配ですが、
その場合メ−タ−を換装するので、その代金。
        

個タク VS 法人タク所得比較 
(売り上げ同数時の場合)

例 月間売り上げ80万の場合 修理無し 突発なしの場合

固定 50000
車の月賦 60000
駐車場20000
ガソリン88000
高速  50000
オイル交換 5000
800000-273000=527000が税込み所得でございます。

法人タク会社の場合
乗務員60パーセントとした場合
800000×0.6=480000が税込み所得でございます。

同じ売上で比較した場合、意外と差はありません。
「なんだ変わらないじゃないか?」と 思われるかもしれませんが、正にそのとうりです。 しかし、仮に同じ80万を売り上げるにしても その達成速度(時間単価)が違います。

例えば同じ80万円を1ヵ月で売り上げる場合。
     法人会社拘束時間240時間 
          個タク175時間
  その差65時間  年間780時間の差です。

その分、体が楽できますのでこれが「差」だと思います。
はっきり言ってそれだけですが、同じ時間働いて
賃金が高い方に流れるのは人の性かもしれません。

概ね以上ですが、忘れてはならないのが、青色申告後に「どばっと」税金や国保や年金等の請求書がやってきますので、 それらの積立です。通常の預金と別に考えておかないと、請求合計額を見て驚く事になります。今年から所得税率は 下がりましたが、その下がった分の住民税率Upに伴い、国民健康保険が増額となりました。事実上の増税です。

会社務めですと健康保険の半分くらいを会社が負担してくれますが、自営業の個タクの加入する国保は全額自己負担です。 売上無しでも最低1人月14000円(年10回払いの場合)4人家族なら×4となります。4人暮らしだと国保だけで概ね 30から40位かと思われます。年金は約14000円×12=168000 夫婦だとさらに×2で336000となり、国保と年金だけでも 年間60〜70ラインです。これら社会保険や厚生年金を自動的に給料天引される上に会社から補助を受けれる会社務めだと気にならない事かもしれませんが、 個タクだと全額自己負担となります。(当たり前)

上記、お役所に支払う金額は売上に左右され申告した青色申告で確定されます。 少しでも免除されたいが為に青色申告額を意図的に押さえますと税務署の「 税務調査 」対象となり発覚した場合は追徴課税され大変な 事となりますので適正な青色申告を推奨致します。


とにかく「金」「金」「金」と羽が生えたように出ていきます。

金金金

普通に過ごせれば問題はありません。ただ、事故や免停や長期修理等、何かありますと大変ですので、 予見できるいかなる状況にも対応できるような預金システム構築は必要です。

会社勤めですと社会保険料等の会社負担があります。事故を起こしても稼働率軒並み低下の現在では別の車は多数用意されて おります。1人1車制の個タクから見れば素晴らしい制度でございます。 これら社会保険制度は圧倒的に法人が有利です。(一部事業所除)

これから個タクを目指される方は双方のメリットとデメリットをしっかり理解され、さらに総合的な自己管理が可能かどうかを 自問自答し、冷静な決断をくだされる事を切に願わざるを得ません。


個人タクー年収



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