311回想録
地震のあの日 |
未曽有の大震災発生から早いもので半年が経過しようとしております。
発生から水素爆発、本格化しない復興に加え、終わりの見えない放射能汚染は全く収束の兆しすら感じ得ない今日この頃ではございますが、 さすがに半年も経過すると、ボトムな景況感や、節電と言う大義名分を高らかに掲げた割にはひったくり犯罪激増の温床でしかない夜道の「ケチ電」、 さらにお天気予報コーナーのオマケで始まった「放射線予報」等の違和感はすっかり薄れつつあるようで、 「これが日常だ」と、無意識に適応してしまったようです。(慣れって怖い) 日常とは言え、異常には変わりないのですが、そんな「異常な日常」にも慣れてきた今、 311当日の事を回想してみます。 2011年3月11日の金曜日 あの日は詰番の為、組合に昼前から出仕した日だったので、 晴天の中、アクシス90で問題なく快適に進行した。 通常の詰番は13時からだが、この日は午前中に組合員さんの車を中古業者に引き渡すのに立ち会うから早く行きました。 基本、私は完全フレックス制なんで! 昼食タイムは進行途中に薩摩屋(大泉学園通り)で買った手作り弁当を食べながら、 パソコンをいじくりまわして過ごした本当に普通な日でしたね。 昼食タイムが終わってからしばらくすると、私と職員さん達以外は事務所内からいなくなった。 他の詰番の方々は各々の理由から外出していきました。 そんな小春日和の昼下がりのお茶タイム目前 チケットの換金にいらした組合員さんのお一人様が、怒りに満ちた表情でやってきた。 内容を聞いてみると 昨夜、無線配車止めされた。との事で、 理由は「応答しなかった」から。、その罰ゲームが 「配車止め」だった。と言う事。 極めてシンプルな話なんだけど、彼の言い分はこうだ。 赤坂エリアに登録中、25台目だったから安心して車外に出て仲間と会話をしていた。 ところが25台目でも無線配車になっていたが、無人の為に無応答となったしまい、 結果として配車取り消しと、3時間配車止処分となった。 東個協ではお客様第一主義の観点から円滑な無線配車業務の支障となる行為をした者に対して、 配車止め(通称99、以後99)と言うペナルティーを課しております。 何故に25台目で配車になったか? 当日は赤坂某局でイベント配車(数10台単位で呼ぶ)が、あったからで、余談として私もそちらへ配車になった。 (多摩センター経由高尾経由相模原) 彼も99処分中の暇つぶしに自身のネットワークを駆使してイベント配車だったからだと調べて分かったらしい。 で、言い分はこうだ。 なんでイベント配車があるのに事前に教えてくれなかったのか? いつもなら無線で流すではないか? 教えてくれたら車から降りてなかったはずだから、応答はできたはずで、99もなかった。 「頭にくるから無線室に文句を言ってくれ。」 と… 立場上、「メチャクチャ言いよる。」と思いつつも聞いていたが、 よくよく聞くと、なるほど… 一理ある。 かもしれない… 「事情はよーく分かりました。お怒りはよーくわかります。」 問題は無線室がイベント配車と認識してない可能性がありますね。 つまり、無線室も知らなかった。 そうなると無線車へ事前にお知らせする事は無理ですから文句の言いようが無いとなりますが、 ここでは何も分からないので、確認の意味でも電話してみましょう。 もし、イベント配車扱いなら同じチケットでも換金率が違う。 チケット係がイベント換金率だと言えば、もし、無線室が知らなかった。と、主張されたとしても、 客観的証拠を示す事で有利に展開できる。 つまり無線室がイベント配車扱いを知ってたか知らなかったのかの「裏取り」の電話でございます。 電話の短縮ダイヤルを押しながら考えた。 無線室が知ってて、予告なくイベント配車を実施したとすれば組合員さんが見てる前でも無線室に電話をかけやすい。 知らなかった叉はイベント扱いとしないのであれば、該当チケット換金前の私としては通常の換金率で換金できるので、どう転んでも損はない。 と、思惑が交錯する中、電話をかけた。 |
私
「もしもし kotakunです。 」 某課女性職員さん 「いつもお世話になってます〜。」 私 「実は昨夜の無線配車での赤伝票(隠語)についてお尋ねしたいのですが、 昨夜は大量に赤伝票が出てると思われますが、換金率は何パーセントで処理しましょうか? 」 某課女性職員さん 「通常どおり処理して大丈夫ですよ。」 私 「確認ですが、イベント配車ではないのですね? 貴課職員のYさんが現地に来られて場内整理をされてましたが? 」 某課女性職員さん 「聞いてないですね〜。」 私 「そうなんですかー。同じ部署だから、ご存知かと…」 で、運命の地震発生 ここまできたらグラグラ始まりました。 グラグラグラグラ 私 「わかりました。通常の換金率で処理致します」 グラグラグラグラ 某課女性職員さん 「ちょっ…と…待ってください。確認しましょうか?」 グラグラグラグラグラグラグラグラ ガタンとガタガタガタン と、右肩上がりで揺れは増大していく。 私 「いやいや確認の為に今、電話でお話してるんですよ」 最初に「電話を切る」と言った方が負けだ。と、独自にルールを策定して平静さを装いつつ電話を続けた。 ふと、見渡すと、自分とこの職員さん達が皆、私を見ている。 まるでコマンド発令を待つクロの表情にそっくりだったので、棚から離れるようゼスチャーで指示。 グラグラグラグラ ガタコンガタコン 某課女性職員さん 「そっち揺れてる〜?」 私 「同じ中野区ですからね。でも、築20年のこちらと違い、本部は新築のビルジングなのだから安心でしょう。」 電話の向こうから 「キャーッ」 複数の女性職員さん達の悲鳴が… ゴムで振動ストレスを発散させる流行の免震構造だから揺れは凄いらしい。 某課女性職員さん 「かなり…揺れてますよ… 一回切ってもいーですか?」 私、 勝った。ニマっ 「わかりました。Good luck!」 ガチャン と、電話を終了 戻りまして組合事務所 私 「揺れが長いけど、これ以上長引いても建物は持ちこたえるか? 」 最長勤続年数職員さん 「建物は鉄骨だから耐えるはずだけど、これ以上、長引けば分かりません。 横揺れだから震源地は東京ではないですよね? 」 私 「現金を置いては逃げれないので、 総員ここを死守。 ここでやり過ごす。」 「万一の倒壊に備えて窓だけは開けときましょう。 」 なんてやり取りをしつつも、左手では家族全員宛てに「大丈夫?」と 届くかどうか分からないメールを一斉送信。 さらに右手で震源地等をWEB検索。東北宮城県沖と確認し、 「震源地は東北宮城県沖と皆に伝達。 」 そうこうしてる内に揺れは止まった。 ^^; 幸い棚の荷崩れ程度で収束したが、確実に多くの電車は止まったろうし、 電話もしばらくはかかりにくくなるだろう。と確信した。 余震が続く中、建物内部や外周の被害度をチェック。 外にでたらご近所の多くが外に出ていて驚きつつも、組合の損害は微少と確認。 99の方はテレビに見入っていて全て忘れてる模様。。。。 自宅が気になり撤収を模索するも、副支部長クラスが戻らないと、それはできない。 この日は早く出てきた分、早く上がれるのだが… しばらく誰も戻ってこないから 「まさか電車が止まってるのを見て、中野駅辺りで仕事してんじゃないのか?」 (笑) なんて疑念が生じるも、確信となる前には戻って来られたので、「損害は軽微。早く来たから帰りますよ。」と、 言い残し、アクシスで組合離脱。 新目白通を下り始めて驚いた。とにかく路上に人が多い。 バブル期の花金にタクシーに乗れずに街に溢れ出た人々の風景を彷彿させる数で、建物の中に居たくなかったのだろう。と、 人々の表情からも容易に推察。叉、地下鉄出入り口は特に多く、電車が止まってると言う事はよくわかりました。 しばらく走ってると、 ヘナヘナヘナー。 と、パンクの症状がでた。 「まさかこんな時に…」 と、思いつつも、運行を継続。 ホイールが、変形してぶっ壊れるまで走り続けると決心したが、症状はすぐに収まった。 今のは「余震の影響だった」と、結論。 1、2分ほど先を急いだってなんて事はない。少し落ちつこうと、セルフのガソリンスタンドへ。 満タンボタンを押すも3リッター補給した所で、あと、2リッターは入っただろうに不注意から清算状態になってしまった。 通常なら再度注入するだろうが、六十パーセント以上まで回復したした事に妥協をし、そのままスタンドを後にする。 この事は後日、後悔する事に。 関連記事 ガソリンスタンド東京難民。 関越道や外環等の各高速道路入り口をパトカーが封鎖する光景を横目で見ながら、個タク村圏内に到達した。 救急車や消防車のサイレン音が気になりはじめ、火災を連想したので練馬区が設置してる消火器の位置等を思い出しながら帰宅する。 幸い近隣での火災は皆無であったが、路上には顔見知りのご近所さんが溢れていた。 家の中に入り、留守番を全とうしたクロと建物の損害状況を確認し、 想像を絶する映像に圧倒されながら棚からの落下物を整理したり、ネットで東京の道路状況等を確認したりしておりました。 家族全員が無事揃ってからもテレビは付けっぱなしでしたが、余震に揺れながらの夕食タイムにはテレビを消した。 いつもの習慣からか、食後になると 「仕事に行こうかな…?」 なんて思ってしまいます。 しかし、ネットの道路情報画面なんかを思い出すと腰が上がらない。反面、街の様子は気にはなるし、 テレビで帰宅難民の方々が映し出されると申し訳ない思いも致しますし、無線配車を受ける車両が少ないのも オペレーターが気の毒だ。と、思えてしまい、出庫するタイミング模索した。 ![]() 22時過ぎのパソコンで道路情報画面を出してみた所、渋滞は夕方ほどではない。 都心から郊外に向かう下り車線は絶望的だが、路線にもよりますが、上り方向は概ね順調の様子でした。 つまり 行きはヨイヨイも出口はない。それでも良ければ「とおりゃんせ。」状態で、 通りゃんせ 通りゃんせ ここはどこの 細通じゃ 天神さまの 細道じゃ ちっと通して 下しゃんせ 御用のないもの 通しゃせぬ この子の七つの お祝いに お札を納めに まいります 行きはよいよい 帰りはこわい こわいながらも 通りゃんせ 通りゃんせ と、言った感じ。 さらにパソコン以外(先行同業衆等)でも、下り車線をよくよく調べを進めると、 マイナー街道や路地伝いに走る経路を選択する事で、困難ではあるが、移動は不可能ではない。 2011.9.2 311回想録 1 完 311回想録 2 につづく |