恐怖! ブラックアイスバーン!
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2月3日は珍しく東京にも積雪がありました。 その夜は無線車も少なく配車を受けるのは容易だと判断し、出庫する事に致しました。 何よりスタッドレスタイヤの威力を試したいと言う甘い好奇心から…。 23時過ぎにティアナのエンジンを起動させ、都心部へ進行を開始します。目標は赤坂と麹町の報道関係に 休日出勤残業組のタク送となりますが、基本的には何でもありです。 進行しながらチラッと無線器情報表示画面を見たらなんと赤坂に3台しか居ません。 赤坂某局は毎回5台づつ、1回目を23時20分から呼び出し始めますが、この一回目に対応できる台数は存在しない事に なり、やはり23時20に応答モードで呼び出しておりました。 そんな手薄な都心部へ24時前に進入しました。とりあえず雪など全くない赤坂エリアに無線待機登録致しますが、 隣接エリアの麹町某局応答のモード呼び出しもに対応する為、九段エリアの境界ギリギリラインに待機します。 赤坂待機順位が変わらない状況下、麹町某局を呼び出してきました。即座に応答しましたが、「負け」こりゃあ近くまで行かないと また負けると判断し、赤坂に登録したまま接近を試みます。完全に越境行為ですが、背に腹はかえられません。 目標真ん前に接岸した所、はす向かい側にB3支部のお友達のチョビ髭さんがおりました。 双方存在を確認した瞬間、麹町某局を2台呼び出してきました。 当然、応答し、 勝利を確信したにも関わらず負けです。チョビ髭とその後ろに…。 法人時代と違い個タクを始めてからは負けてもなんとも 思わなくなってましたが、自分を叩き負かした相手が目の前に居るとなると話しは別です。しかもよりによってあのチョビに…。 仕事なんか関係なくなり、ただ負けが悔しい〜。「その配車キャンセルしてもう一回勝負しろ〜」と電話しようと 思いましたがやめました。(大人気ないので…)「もうデジカメの使い方は教えね〜!」悔しい〜。 けど、麹町は一回でると少しの間は呼ばないし、赤坂エリアから越境して来てる立場だと「赤坂に戻れ」と 無線機の警告音がうるさいので一旦息継ぎに赤坂へ戻ります。 ちなみに長い時間に渡って越境を続けると登録は取り消されます。 赤坂に戻ると同時に赤坂待機1になりました。こりゃあイカン。赤坂某局5台口以外に配車になる危険性がある事に気づき、 現在の赤坂待機台数を確認しました所、待機数は私を含めて5台。配車の場合1台目も5台目もおんなじ事なので、 思わずエリア登録を取り消し、再登録を試みます。「これで5台目になれる」とっさの判断でしたが、我ながら「ナイス!」と思ったのはつかの間で、 なんと待機順位「6」と表示されました。これだと「5台口が出たらまた1台目だ。意味ね〜。」と後悔してる最中、虎の門エリアを 応答モードで3台呼んでます。虎の門待機数0を確認し、赤坂を中心とした場合、麹町某局のある九段エリアのの正反対に位置する虎の門エリアへ急行します。 もちろんまた越境です。しかし行くと呼ばない。さらにまた赤坂待機1になりました…。 「私はさっきから何をやってるんだろう」 と自問自答しながら虎ノ門の待機車両が増えつつあると判断し、赤坂へ向けて離脱を開始したまさにその時、麹町某局を3台口で呼び出しました。 「絶対取れない。遠すぎる。あのまま居ればよかった〜」と思いながらも一応、応答したら入りました。 「配車」です。 車が少ないからでしょうね。 進行し、雪はすっかり上がって満天の星が輝く中、お乗りになられたお客様。「浦和南まで首都高速で、東武東上線の鶴瀬までお願いします」と、 おっしゃりました。 正直申し上げますと一回目とかの前半戦は高速利用でパッと行ってパッと戻るタイプが望ましいのですが、この鶴瀬だと高速を降りてから 結構な距離を一般道で走る事になり、時間がかかるタイプとなります。 まぁ。。。。それはよいのですが、問題は車庫のある個タク村へ帰りやすい場所だと言う事です。鶴瀬からだと川越街道を上り都内に 入ったらすぐ個タク村へたどり着けますので里心が芽生え、ガソリンを消費させ改めて都心部へ戻る気にはなかなかなれない 仕事でございます。裏を返せばラストの仕事なら最高ランクでございます。 |
「まだまだやる気だったけど、ど〜したもんかなぁ〜」と悩みながら出発しました。 飯田橋から首都高5号線に入り、浦和南出口を目指してた所、途中の電光掲示板に戸田南より先は「雪の為に通行止め」との主旨のメッセージがあります。 星が見えてるのに解せない中、戸田南で高速を降りましたが、一つ手前で降りたに過ぎないし、大宮バイパスを下って浦所バイパスを目指す基本経路も運賃も変わりませんのでたいした問題ではない中、進行を続けます。 ただ「雪のため通行止め」との文言には引っ掛かったまま…。 浦所バイパスへ抜けるべくショートカットの為、大宮バイパスの松屋を左折します。(ベテランならどこかは分かるはず) ウェット路面ながらすっかり雪はない感じの1車線道路をトラックの後について進行します。浦所バイパス手前に小さな橋(多分、柳瀬川)がありますが、 そこへたどり着くと何やら橋の手前から渋滞が発生しておりました。ノロノロ行きましたが、橋にたどり着くと遂に止まります。 お客様 「工事ですか?」 私 「いやぁ〜今日は雪でしたからね。工事はさすがにないと思いますよ」 と、会話を少し交わすと動き始め、前のトラックのブレーキランブが消えてアクセルを吹かした瞬間!ツルツルっとリアタイヤが空転を始め、慌てたのか ドライバーさんはブレーキを踏みました所、4輪ロック状態でこっちへ滑り落ちてきます。 \(☆o☆)/ 私はお手上げ状態で見てましたが、幸運にも自車直前部は傾斜が緩かった事もあり、落ちながらもアクセルを再度吹かしてリアを振りながら登って 行かれました。 次の発車は私の番ですから、その様を目の前で見たものですから、窓を開けて路面を見てみました所、路面は美しい程、見事に凍りついておりました。 アスファルトの表面を薄い氷の膜がコーティングしており、一見、凍りついてる事が分からない所謂、ブラックアイスバーンです。美しさの反面、 摩擦係数を限りなく低下させる恐怖の光沢であり、背筋が凍りつく思いの中、自車を発車させます。ちらっと温度計を見たらなんとマイナス1度ですので、 もちろんギアはスノーモードで…。 傾斜は緩いとは言え、上り坂なので慎重にスタートさせます。 徐々に上り始めますが、時折ズルっとくる都度「登れ〜」と心の中で叫びました。もし止まってタイヤが空転し、車体が下がり始めて4輪がロックしたら 終わります。 滑り始めた場合、どこまで滑り落ちるか分かりませんが、それを警戒したのか後続車が車間を開けて後方で待機してくれてたお陰で心に余裕が持てたのかなんとか登り切り ました。 スタッドレスタイヤはいくらかは効果があったと思いますが、何よりティアナが前輪駆動だった事に、この時程感謝した事はございません。 登りきって橋を進むと渋滞の原因を目撃します。 事故です。軽自動車に普通車が突っ込んでおりました。前の軽自動車は進行方向に対し90度の向きで停車しており、車体の前後は無惨にも潰れ、 その側面に普通車は突っ込んだ状況です。 トロトロ通過中にお客様。 「運転手さん。この車のタイヤは雪用ですか?」 私 「はい。雪用のスダットレスタイヤになります」 お客様 「なら雪道でも安心ですね」 私 「ところが雪用タイヤでも、このようなブラックアイスバーンの路面では殆んど気休め程度なんですよ。雪道だと問題ないですが。。」 お客様 「…」 ↓のような路面ならスタッドレスタイヤだと全然平気なのだが…。 事故現場を通過し、浦所バイパスに入りました。 私と同じくブラックアイスバーンを身をもって体験してきた車はバイパス合流後もトロトロ走ってました。(そーと〜ビビッたのか制限速度の半分位) しかし、ず〜っとバイパスを走って来てる車は追い越し車線をビュンビュン行きます。知らないとは恐ろしい事です。 そして荒川に架かる全長1キロ程の浦所バイパス「 羽根倉橋 」に到達します。 敏感になってたせいかアクセルからの反応で路面が普通ではない事に気くと同時に前方に玉突き事故現場を目撃します。複数台がからんだ事故で先頭の ワゴン車は大破しておりました。私の先行車がブレーキを踏んだので当方もブレーキを踏みました。すると。カタカタカタ、とABSが作動し、ここも完全に終わってると悟ります。(脂汗) この現場は台数が多いだけで先に見た柳瀬川に架かる橋で見た事故と同じ概況かと思われました。 推測するに先頭車がブラックアイスバーンの存在を 知らずにいつもと同様な速度で橋に進入し、タイヤに駆動力を伝えるも路面が氷結しているが為に摩擦抵抗がなくなり、結果路面との隔離が生じて宙に浮いた 状態で制御不能に。 そして遂には側壁へ接触するも路面との摩擦がないのでコマのように複数回接触を繰り返した挙げ句の果てに停車。 ここまでなら単独事故(自爆)ですが、これだけでは終わりません。後続車が突っ込んできます。 先行車がコマのように回るさまを目前に見れば普通のドライバーはパニックに陥り、急ブレーキを踏みます。これこそが最悪な 判断であり、ブラックアイスバーン下では減速どころか加速していく事でしょう。 そして先に大破した車に追突をする事で、悲願の停車を果たせる訳ですが、自分自身が行ったようにパニックブレーキを踏んだ後続車に 今度は自車が追突されると言う負の連鎖状況が今回連続的に目撃した事故現場の発生メカニズムかと思われます。 路面状況比較(参考資料) アイスバーン
ブラックアイスバーン 全面氷結してますが、アイスバーンの白と違い、普通の道路と見分けがつきにきのが特徴です。 幸い私の群れ(車列集団)はこの氷結橋(羽根倉橋)に訪れる前に柳瀬川の小さな橋でアイスバーンについて学習する機会に恵まれてきた甲斐あってか 異常なほど車間距離を開けてノロノロ進行しておりましたので、このメンツなら「玉突きになる可能性は低い」と感じつつ進行を続けます。 よく橋や高架建造物の前に「凍結注意」とかの看板を目にしますが、あれは「こーゆー状況の事を言うんだぁ〜」と心底痛感致しました。零度以下だと 地熱が伝わらない人工建造物に水分があれば凍りつくと言う事を…。 この日は朝から雪でしたが、道路上の雪は溶けました。 しかし、多量の水分を残して…。 そして深夜には星が見える程に晴れ渡った事で、放射冷却効果により急激に冷却された水分がたちまち凍りついたと思われます。 この夜は出てはならないブラックアイスバーン日和だったと言う事だったのでしょう。 そんな事は今更ながらの話で、この時はそのままお客様を無事送り届け、車庫まで無傷でたどり着く事だけを考えながら羽根倉橋を進みます。 2件目の事故現場の進行上の先にさらにもう一件の玉突き事故を目撃し、さらにその対向車線でも一件の玉突き事故を目撃、驚く事にさらにその先の 対向車線でも1件の玉突き事故を目撃しました。信じがたい事に1本の橋の上で4件発生していた事になります。 警察も重なる事故の為に人員不足に陥り、対応が出来なかったらしく橋の上の現場をハシゴしてる状態でした。(汗) あまりのショックで画像を撮る事等、想像すらできなかった状態ですし、お客様も身を乗り出して無言で硬直しておりました。 私もコイン駐車場にTEANAを放り込んで思わずタクシーで帰りたくなりましたね。 1本の橋の上での4件は激減した交通量下では異常な発生頻度です。つまりこの事故に遭遇された皆様の車群の一団に混ざっていれば巻き込まれていた 可能性は極めて高いと言う事です。 今現在、無事なのは単に「運」だったとしか当時は思えませんでしたし、営業継続は夢の中の夢の話で「これは帰庫することすら危ういかもしれない…」 と本気で考えておりました。 それでも無線機の情報画面を見て各エリア待機台数の確認なんかしております。 26時以降は殆ど0台で、我等東個協の花形事業である無線営業は完全に崩壊している模様でした。
深夜2時過ぎ、東個協無線車集団壊滅! 基本的に路面状況を正確に認識さえできていれば問題はありません。 滑る状況。つまり、加減速のGと遠心力のGの初動に細心の注意を払う事です。あとは適切な速度に十分な車間距離さえ保てればなんら問題ありません。 ただし、単身走行中に限ります。道路は様々な車種の車に多様な人間が乗って通行する場所ですので、いくら気をつけても前後左右から突っ込んで こられたらおしまいです。可能な限り周囲を走る車の運転手さんの知識と技量、そして補償力の分析に力を注ぎ、必要に応じて自車を路肩に寄せて、 先きに行かせる等の処置を講じたいものでございます。 私の場合はベテランさんの乗られてそうな大手ノロノロトラックの間に入り込み、前衛と後衛を設ける形で前後を固めました。 (所謂護送船団方式)素人自家用車の突入をガードしてもらえる計算からです。 逆に玉突きになれば挟まれて死んでしまいますが、そのようなスピード域で走らないのがベテランさんです。(ホントノロノロ) 前後を固めて恐怖の羽根倉橋を通過し、、ラスト部の下り坂を通過すれば渡り切る事になります。 この先は「地熱の期待できる地面に面した路面だぁ〜。」と、甘い期待を抱きつつ、氷結した下り坂へ進入しました。人生で始めて乗った遊園地の ジェットコースターの事を思い出しつつ。。。。。 2008.2.9 後記 もちろん無事に帰庫してます。思い出すのも嫌なくらい空恐ろしかったです。 この羽根倉橋上の恐怖体験後に、2回程、波瀾がございましたが、割愛させて頂きます。 あまりにも情けないので…。 雪の日は休むべきか? 悩みますがリスクを考えれば絶対割りが合いません。自爆した場合、交通共済から修理代は出ますが、免責5万円(車両給付申請のみの場合)で修復期間中は 無収入ですので目もあてられません。しかし、無線業務は東個協の花形サービスです。 誰かが出ないといけませんね。個人より組織です。 (スリスリ) ブラックアイスバーンさえなければスタッドレスなら楽しい雪道ドライブです。 この日は相当、配車不能な状態だったのでしょう。今日も雪の予報がありますが、 昨日、自宅の電話と携帯電話に無線室から出庫要請がございました。 物凄く丁寧な言葉使いで…。こちらから電話を入れる時も同様な対応をお願いしたい所でございます。「奥様によろしくお伝えください」には 驚きましたが…。(笑) 附録 必勝!私の今後のブラックアイスバーン対策。 恐怖!「 越すに越せない羽根倉橋 」 |