ザ。当て逃げ事故
検証!相手が盗難車の場合の交通事故 |
私の個タク仲間で日個連に所属するIさんと言う方がおります。 私と同じ会社に勤務し、担当車の相番で、同じ波で我々が乗る車の無線番号を知らない無線屋さんは皆無な位、 二人で連日、無線を取りまくっておりました。 そして二人で集めた様々な情報を共有し、常に全体を把握するようにつとめてました。 今思えば相番で良かったですね。絶対にかち合わないですから… (笑) Iとはあまりに性格が似てるが故に時には反目した時期もございますが、お互いが個人タクシーを開業した現在も「くされ縁」が続いております。 私はでんでん虫(東個協)、Iはちょうちん(日個連)へと異なる在籍先を選びましたが、こんな垣根は全く関係ありませんし、実は意図的だったりします。 各々が触手となる事で2団体のメリットとデミリットを分析したり、様々な情報を吸収し、業界全体の把握に務めており、 導き出された結論を元に最終的には合流して対応したいと考えております。 そんなIが、先日、当て逃げ事故に遭遇しました。 |
当て逃げ事故発生時間帯 警察との連絡で判明した事。 このタクシー。千葉県内で乗客を実車後都内に進入後。五反田付近の交通違反取り締まりで停車を命じられて停車。 警察官とタクシー乗務員さんが車外で話をしていた所、タクシー車内で待つお客様が突如としてタクシーを奪い逃走。 この時点でお客様はタクシー泥棒に豹変。 各地で複数の車両との接触を繰り返しながら逃走を続け現在も身柄拘束の報はなし。 ちょうちん所属のIは不幸にもこの盗難タクシーが接触した複数の車両の中の一台となってしまった訳でございます。 |
ややこしい
加害者側の車は特定できるものの加害者を特定はできないとなると話はかなりややこしくなります。 人身事故分は加害者が運転したタクシーの自賠責保険に被害者請求はできるものの、面倒なのは車両の損害(物損請求)で、 加害者が特定できない以上請求先の絞り込みで迷走します。 仮に犯人が捕まったとしても愚行から判断して、賠償能力があるとは到底思えませんし、捕まらない以上話になりません。 以前トラブル記録に書いた「ザ。追突事故 検証!相手が任意保険に未加入の場合」と かなりの部分で重複しますが、今回の場合はどうなのか?を改めて書いてみます。 車両の物的損害 加害者の乗ってた車は盗難車となりますが、盗難車とは言え、所有者責任の観点から法人タクシー会社に損害請求を打診するも「我々も被害者である」との一点張りだそうです。 「一理あるがどうなのか?」を決着させるとなると法廷闘争化は必至の模様で、取り立てる手間や労力を考えると先ずは日個連交通共済を活用して 百数十万円分の修復が現実的となります。 しかし過失ゼロでも免責金を7から9万程支払わなければならず、この時点で思わぬ出費となります。 百数十万円の損害が数万円で済むなら… と思われるむきもございまが、この程度で事は済みません。 休車損害 修理の工期が20日もあるからです。 法人タクシーなら翌日会社へ出社すれば稼働率が軒並み低下している現在の恩恵で、代わりの車はいくらでもあります。 しかし個人タクシーは1人1車制である以上、修復完了までの間は仕事に一切出れません。したがいまして経費を引いた見込み益が入らない事となり、 20日だと数十万円の見込み益がゼロとなります。 これが休車損害です。 二重の負担 交通共済では休車損害に対応しておりませんので、数十万円の回収不能な損害が発生します。先の免責額と休車損害の 二重の負担を車の月賦や他の払いが待ったなしの中、強いられる運びとなりますので、完全に泣き寝入い状態であり、 目もあてられない状況と言えると思います。 弱い経営基盤 世界金融危機でタクシー需要が低迷する中、相手方の任意保険を十分活用できる事故なら夢のような有休休暇を 堪能できた事でしょうが、今回のケースだと、どれだけの苦痛を伴うのか?と想像すると心からの同情を禁じ得ませんし、 個人タクシーの経営基盤がいかに軟弱かと言う事を改めて感じます。 Iの身に起きた事を他人事として捉えるかは皆様の自由ですが、私は自分の身にもいつかは起こり得る事として受け止めようと思います。 Iの運命はいかに… つづく 誰かの言葉 2008.10.29 |